長門湯本温泉 レストラン「恩湯食」 
新規就業者

川田さん

時間がゆっくり流れる場所。
気持ちに余裕が生まれました。

中学生時代からの夢を実現

大学進学で山口県を離れるときから、将来的には地元に戻ることを決めていました。実は中学生くらいのころから、いつか自分の店が持ちたいという夢がありまして、誰もが気軽に入れるカフェを地元で開いて、少しでも地域の活性化に貢献したい気持ちがありました。地元の長門市は自然が豊かで、とても素晴らしい土地なのですが、高校を卒業すると若者はほとんどが進学や就職のために地元を離れてしまいます。以前の活気を取り戻す具体的なアイデアなどありませんが、私の店がなにかの役に立てばという想いがありました。

店舗運営を考えると、調理だけではなく経営についても学びたい。また、「調理を基本からしっかり学ぶなら和食がいい」というアドバイスを人事の方からもらったこともあり、新卒採用後は渋谷の和食店で技術を磨きました。その後、恵比寿で創作和食の新店舗、さらに秋葉原の新店舗で調理を担当し、前職では計7年間、調理だけではなく店長業務も経験し、最後の2年間は店舗責任者(料理長)を任されました。秋葉原の新店は駅近で維持費が高く、黒字にするまで苦労しましたが、振り返ると本当に貴重な経験が積めたと思います。

長門市新規就業者 仕事中1

オーナーの熱意に気持ちが動きました。

現在のオーナーとの出会いは偶然で、長門市での転職活動をしていたわけではありません。父の四十九日で同級生とそのお母さんが仏壇に線香をあげにきてくれたのですが、そのお母さんがいま働いている、長門・湯本温泉 立ち寄り湯「恩湯(おんとう)」に隣接する飲食棟「恩湯食」の店長でして、私のことをオーナーに話してくれたんですね。今は東京で働いているが、いずれ地元に戻るつもりだということを聞いて、オーナーがわざわざ東京まで訪ねてくれて、今度オープンする新店で調理の仕事を任せたいと誘ってくれたのです。

地元で焼鳥店などを経営する女性オーナーなのですが、地元の活性化、湯本温泉を発展させたい想い、全国のさまざまな人に支えられていることなどを熱く語っていただき、気持ちが動きました。その際に山口県の移住就業支援事業についても教えていただき、移住支援金制度などを活用させていただくことになりました。東京での仕事もやりがいがありましたし、迷いがまったくなかったわけではありませんが、きっと今がそのタイミングなのだろうと、偶然のこのご縁を大切にすることにしたのです。

前の会社を2019年8月で退職し、9月から長門市での仕事をスタートさせました。本来は11月オープンの予定だったのですが、工期が延び、「恩湯食」がオープンしたのは2020年3月18日。「恩湯食」に隣接する立ち寄り湯の「恩湯」は、神授の湯と呼ばれる600年の歴史を持つ由緒ある温泉施設です。温泉で身体を清めていただき、「恩湯食」の料理で身体の内から綺麗になっていただくことをコンセプトに、オープンまでは料理家を含む飲食チームでさまざまな視察を行い、コンセプトにふさわしい「恩湯食」のメニューを決めました。

長門市新規就業者 仕事中2

長門市の魅力

長門名産の長州どり、手作り豆腐を中心にしたメニュー構成で、とくに長州どりの素材を生かした「長門鶏飯」はお客さまに好評です。鶏肉を酒蒸しにして柔らかく炊き、鶏本来の旨味を引き出しているのですが、この酒蒸しで出た鶏の出汁をご飯に和えることで、長州どりの旨味をダイレクトに感じることができる一品になっています。ご飯の上には季節の葉物をたっぷり載せ、酸味のあるドレッシングを使うことで、お子さまから大人まで楽しめる味に仕上がっています。長門・湯本温泉にお越しの際には、ぜひ味わっていただければと思います。

今の仕事はお客さまとの距離も近くて、自分が作った料理を、「美味しかった、また食べに来ます」と直接言っていただけるのが嬉しいですね。長門で仕事をしていて感じるのは、ゆっくりとした時間の流れ。東京にいるときには気づいていなかったのですが、日々、時間に追われていたんだなと思いますね。いまは気持ちに余裕があります。食材についても思うのですが、東京にはなんでもありますが、それは全国各地から運ばれてきたもの。長門市は東京と規模は比較になりませんが、海のもの、山のもの、野菜など、ここだけでなんでもそろう。東京での仕事を経験したからこそ、長門市の食材の豊かさに気づくことができました。

勇気を持ってUターンを実現して欲しい!

私はいま実家で暮らしています。実家があるUターンだから山口県に戻りやすかったことはありますが、私の感覚としては、いま現在の山口県の自然や暮らしに魅力を感じるIターン、Jターンの人の方が、移住の決断がしやすいのかもしれないとも思うのです。昔の方が活気があったと思う地元出身者よりも、きっと素直に山口県に住みたいと思えるはずです。私のようにUターンで戻ってくる若者が少しでも増えるように、私はいつか自分の店を持って、少しでもその役に立ちたい。Uターンを検討している人には、勇気が必要だと思いますが、ぜひ戻ってきて欲しいと思います。いまは都会を離れても仕事をする方法はありますし、都会でのキャリアを活かせる仕事を、ぜひこちらで見つけて欲しいと思います。

長門市新規就業者 仕事中3

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